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~Trados Studioってなに?~第2回「翻訳メモリ」

皆さんこんにちは! SDLジャパンでTrados Studioの営業を担当している西海(さいかい)と申します。このブログでは、翻訳業務に携わる方・翻訳ツールにご興味をお持ちの方向けにTrados Studioという翻訳ツールについてどんなツールなのか、また使うとどんないい事があるのかをわかりやすくご紹介していきます。

Trados Studioの主役「翻訳メモリ」とは?

第1回のブログで「翻訳メモリ」と「用語ベース」という2つの大事な機能をご紹介しました。第2回では「翻訳メモリ」を詳しく紹介します。

翻訳メモリとは、過去の翻訳データが蓄積されているデータベースのことです。翻訳者が1文1文翻訳をした大切な資産をこの翻訳メモリの中にためていきます。このデータが翻訳者にとっては大きな武器になります。翻訳作業をする際に翻訳メモリを紐付けることで、同一/類似の文を翻訳メモリの中から自動で検索し候補を表示してくれます。つまり、「使いまわし」ができるわけですね!

よく「あ、この文前にも訳したな」とか「似たような文を訳したけどどう訳したっけ」という場面がありませんか?しかし、いつ・どの文書で訳したかを思い出せないことがあるかと思います。過去の翻訳データを探すのが面倒だったり、見つからないと記憶を頼りに翻訳を進めてしまう、という方も多いのではないでしょうか。その結果、何度も同じ文を訳したり、同じ原文に対して違う訳文が入ってしまう(訳文のブレが発生する)ことがあります。翻訳メモリを使えばそんな課題を解決することができます!

翻訳メモリってどう使うの?

翻訳メモリには原文と訳文のペアが1分節ずつ登録されていきます。例えば、英語と日本語の翻訳メモリの場合、翻訳メモリの中身は以下のようになっています。

【翻訳メモリの中身】(3ペアを例として表示しています)

1Getting Startedはじめに
2Finding a location for your printerプリンタの設置場所
3Place the photo printer on a flat, clean and dust-free surface, in a dry location, and out of direct sunlight.写真プリンタを、平らで、埃や湿気がなく、直射日光の当たらない場所に設置します。

それでは、上記翻訳メモリを使った使用例を挙げてみたいと思います。

①「Getting Started」という英語の原文を翻訳したい場合
まず、Trados Studioが「Getting Started」という原文を翻訳メモリ内で検索します。翻訳メモリには登録があります(1つ目の分節)ので「はじめに」という訳文が候補としてTrados Studio上に表示されます。翻訳者の方は「はじめに」を訳文として適用します。イメージはこのような感じです。
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②「Finding a location for your photo printer」という文を翻訳したい場合
この場合、翻訳メモリの2番目の分節が1番似ているので「プリンタの設置場所」という訳文が候補として表示されます。ただ、「photo」という単語が翻訳メモリ内の登録には無いため、100%同じ文ではなく90%マッチのように表示されます。翻訳者はまず、「プリンタの設置場所」という候補を適用し、差分である「写真」を追加し「写真プリンタの設置場所」と訳文を完成させます。

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翻訳メモリを使用しないと「Finding a location for your printer」という訳文に対し、ある文書では「プリンタの設置場所」と訳され、別の文書では「印刷機を置く場所」と訳されると、表現がバラバラになることがあります。このような場合も翻訳メモリを使用することで「プリンタの設置場所」が常に候補として出ますので、簡単に訳文を統一することができます。便利ですよね!

尚、言語方向は逆にしても使用することが可能です。
英→日で作成する翻訳メモリは日→英でも使用できますので、安心して下さいね。

さらに翻訳メモリは複数作成することが可能ですので、文書タイプ(議事録用、マニュアル用、契約書など)や業界毎、また顧客毎に分けることができます。使用する時は、複数の翻訳メモリを選択することが可能ですので、分けてもご心配なさらずに。
翻訳メモリの管理についてはこちらのブログをご覧ください。

ここまで、なんとなく翻訳メモリのイメージは掴めましたか?
それではTrados Studio上で実際に翻訳メモリをどう使うのかを見ていきましょう。

Trados Studio上での翻訳メモリの使用

こちらは実際のTrados Studioの画面です。

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①翻訳メモリの検索結果を表示するウィンドウです。
②用語ベースの検索結果を表示するウィンドウです。
③取り込んだ原文が1文ずつ区切られ、表示されます。
④原文に対応する訳文を1文ずつ埋めていきます。

取り込んだ原文は1文ずつ区切られて「③原文」に表示され、対応する訳文を右側の「④訳文」の領域に1文ずつ入れていきます。
翻訳メモリから候補がある場合は①の翻訳メモリウィンドウに候補が表示されます。

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例えば、2番目の分節を翻訳しようとすると翻訳メモリウィンドウに候補が表示されます。候補を使用したい場合は、訳文側へ挿入をします。この例では、100%同じ文が翻訳メモリにありました(=過去に同じ文を訳したことがある、という意味です)。先程紹介した例のように数単語の差がある場合などは80%や90%一致として表示がされますので、差分を必要に応じて手動で修正します。

翻訳メモリへの登録

作業中に翻訳をした分節は1ペアずつ随時翻訳メモリへ追加されていきます。例えば、1番目の分節を翻訳しようとすると、翻訳メモリの結果ウィンドウには「一致するものがありません。」と表示されます。
これは過去に1度も同じ文、または似ている文を訳したことがない新規の分節であることを示しています。こういう場合は手で翻訳を行います。翻訳を開始すると、真ん中のステータス列のアイコンが未翻訳の白紙マークから「鉛筆」マークに変わります。
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そして翻訳が完了したら画面上部にある「確定」ボタンをクリックします。(ショートカットキーで入力も可能です)
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「確定」ボタンをクリックするタイミングで、この分節の原文と訳文ペアが翻訳メモリへ登録されます。また確定をするとステータスアイコンが「鉛筆+チェックマーク」に変わります。
確定後は登録した分節が候補として出てくるようになります。こんな感じ。(「CM」はコンテキストマッチを示しています。ここでは100%マッチとお考えください)
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これ以降「Getting Started」という原文が出てきたら手で翻訳する必要はなく「はじめに」という訳文を流用できます。翻訳中にも翻訳メモリの中身はどんどん増えていくわけですね!
長い目で見ると、翻訳メモリは使えば使うほど蓄積され、流用できる文も増えていきます。

翻訳メモリのメリット

翻訳メモリを使用するメリットは主に2つあります。
①時間を短縮
何度も同じ文を翻訳する必要がなくなり、過去の文書を検索する手間もなくなります。また翻訳メモリの候補を訳文へ挿入できるのでタイピング時間も削減できます。
細かいことかもしれませんが、フルタイムの翻訳者にとっては毎日繰り返し行なうことでタイピングに膨大な時間を消費してしまうことがあります。時は金なりです。効率よく作業を進められたら嬉しいですよね。

②翻訳のブレを軽減
翻訳メモリを使用することで記憶に頼り翻訳をすることが無くなり、質の面でも統一感のあるスタイルに仕上げることができます。1人で作業をする場合に限らず、複数名のチームで翻訳作業を進める場合も、翻訳メモリを共有すれば共通のスタイルに合わせることができるので、個人に依存しがちな訳文を統一していけます。

便利な機能「一括翻訳」

翻訳メモリから1文ずつ適用していくしか方法はないの?と思われる人もいるかもしれません。これが一括で埋められたら便利だと思いませんか?Trados Studioには「一括翻訳」という機能があり、これを使うことで翻訳メモリから流用できる文を先に全て埋めることができます。

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一括翻訳をするとこのような感じに、翻訳メモリから流用できる分節だけを先に埋めることができます。マニュアルの改版やWebページの改定などの場合、前版の内容を全て埋めてから新しく追加された差分だけを翻訳することができますよ。

過去のデータを翻訳メモリに入れられる!?

最初は翻訳メモリの中身がゼロだからあまり役に立たないのでは?と思う方もいるかと思います。過去の翻訳データがあれば、その内容を翻訳メモリに入れることも可能です!これで過去の翻訳資産をすぐに使うことができますね。
尚、過去の翻訳データを翻訳メモリに入れる場合、保存されている形式により方法と作業時間が異なります。詳しい紹介はここでは割愛致しますが、知りたい方は以下お問い合わせまで聞いてくださいね。

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どうですか、翻訳メモリを使ってみたくなりましたか??
次回は「用語ベース」について詳しくご紹介する予定です。お楽しみに~

部分マッチの活用(upLIFT)

通常、翻訳メモリは1分節全体を原文と比較し候補があるかを判断しますが、upLIFTという部分的なマッチも検索できる機能があります。部分的なマッチを使用すると、1分節全体ではマッチしずらい文書でも候補を部分的に活用できます。少しアドバンスな内容ですがこちらもぜひチェックしてみてくださいね。

自動翻訳ではない!?

翻訳メモリは、翻訳者がいる前提で人の手で翻訳したデータを蓄積し流用していくものです。機械が自動で翻訳をするツールではありませんので、間違わないでくださいね。
Trados Studioと機械翻訳との違いについてはこちらのブログをご覧ください。

最後に

翻訳メモリはTrados Studioを使う上で心臓にあたる中心の機能です。
翻訳メモリを理解できればTrados Studioの半分は理解できたといっても過言ではありませんよ!
ぜひぜひトライアルを試してみてくださいね。

■30日間の無料トライアル■ 
http://www.sdltrados.com/jp/products/trados-studio/free-trial.html 

■ブログ■ 
第1回「Trados Studioの自己紹介」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/intoduction-sdl-trados-studio.html
第3回「用語ベース」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-termbase.html 
第4回「機械翻訳とは違う!?」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/trados-studio-machine-translation.html 
第5回「Tradosで使用するファイル」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-file-types.html 
第6回「Trados Studioの歴史」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-history.html 
第7回「Tradosの活用例、製造業界編!」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-manufacturing.html 
第8回「Tradosの活用例、特許業界編!」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-patent-law.html 
第9回「翻訳業務を標準化しよう」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/standardization-translation-with-trados.html 
第10回「翻訳メモリの共有と管理」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sharing-managed-translation-memory-trados-studio.html 
第11回「外注しているからTradosは不要!?」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/how-to-use-trados-studio-for-outsourcing.html 

■Webinar■ 
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