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プロジェクト用翻訳メモリについて

SDL Trados Studioを使用していると、度々、「プロジェクト用翻訳メモリ」という用語が出てきます。プロジェクト用翻訳メモリとは、解析結果に基づいて、その原文ファイルに関連した分節だけを抜き出した翻訳メモリです。この定義だけでは意味が分かりにくいので、実例で考えてみたいと思います。

仮に10万の文節を含む翻訳メモリがあったとします。この翻訳メモリを使用して100の分節を翻訳する場合、10万分節すべての情報は必要ありません。そこで解析を行った際に、一致した翻訳メモリ内の分節を記憶し、それを抜き出して作成するのがプロジェクト用翻訳メモリです。当然、あいまい一致分も抜き出されます。

プロジェクト用翻訳メモリを作成することのメリットとして、翻訳メモリのサイズを小さくできることが挙げられます。翻訳メモリのサイズは含まれる分節の数に応じて大きくなるため、10MBを超えるようなサイズになることも稀ではありません。翻訳メモリが大きくなり過ぎると、メール添付で送ることが難しくなったり、作業中の検索スピードが落ちたりするなど不都合なことがあるので、サイズは小さいに越したことはありません。

サイズの問題以外に、プロジェクト用翻訳メモリを利用する理由がもう1つあります。複数の作業者がいるプロジェクトに於いては、翻訳メモリがコピーされていくので、どれを最新の翻訳メモリと考えるか判断が難しくなります。例えば、二人の翻訳者に翻訳メモリを送り作業を行ってもらった場合、それぞれが別々に翻訳メモリを更新していくので、別々の内容を含んだ翻訳メモリが2つ出来上がることになります。論理的には、両方の翻訳メモリを回収して統合し、重複するもので訳文に差異があるものを修正するなどメンテナンスを行うことになりますが、実際には、その作業を行う前に次のプロジェクトが始まってしまったり、何度も翻訳メモリの受け渡しを行っている内に最新の翻訳メモリがどれか分からなくなってしまったり、翻訳者が翻訳メモリに分節を登録し忘れたりと、細々とした問題が発生します。

そこで、メインの翻訳メモリは1つだけにして、常にプロジェクト作成者の手元に置き、翻訳者には作業用の翻訳メモリとしてプロジェクト用翻訳メモリを送ります。翻訳者が作業を終えたら、プロジェクト用翻訳メモリは破棄して貰い、バイリンガル ファイル(*.sdlxliff)のみを受け取って、その内容をメインの翻訳メモリに一括で更新します。こうすることで、最終バイリンガル ファイルとメインの翻訳メモリの内容を同期することができ、かつ翻訳メモリの統合や、どれを最新の翻訳メモリと考えるかといった問題から解放されることになります。より多くのユーザーにこのワークフローに従ってもらうため、SDL Trados Studioのプロジェクト パッケージを作成するとプロジェクト用翻訳メモリが自動的に作成されてプロジェクト パッケージに取り込まれ、また返却パッケージには翻訳メモリが含まれないという仕様になっています。

良いことばかりに思えるプロジェクト用翻訳メモリにも、一点、欠点があります。それは、訳語検索を行った際にヒットする分節の件数が減るということです。従って、翻訳メモリの一致率が低かったり、用語を統一したりするために頻繁に訳語検索を行う必要があるようなプロジェクトでは、参照用としてメインの翻訳メモリをコピーして作業者に渡す必要があります。プロジェクト パッケージを作成する際には、オプションで追加するリソースとして「メインの翻訳メモリ」を選択する必要があります。

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