sdl-appstore-competition-have-you-got-a-great-idea-for-a-new-app

翻訳メモリの互換性 SDL Trados Studio 2019 / 2017 / 2015

みなさま、こんにちは。SDLジャパンの土田です。こちらのブログでSDL Trados Studioをはじめとする弊社製品についての実用的な情報をお届けしています。

2018年12月にSDL Trados Studio 2019 SR1がリリースされました。Trados Studioの新バージョン発表にあたり、非常によくいただくお問い合わせが「翻訳メモリ(TM)の互換性」に関するものです。

ユーザーサイドの視点から、この点は当然の心配と言えます。TM作成側で使用しているTradosのバージョンと、翻訳作業者が使用しているTradosのバージョンが異なっている場合、TMの解析結果に開きがあっては翻訳作業量の見積もりにずれが生じ、大きな問題に繋がる危険があります。

Trados Studio 2017でupLIFTテクノロジーが搭載され、TMの内容を単語やフレーズ単位で細かく、柔軟に利用することが可能になりました。これによってTMからより強力なサポートを得られるようになったと翻訳者のみなさまからご好評の声を頂いています。

その一方で、TMを細かく構文解析してフラグメント整合を行う仕様変更のため、以前のバージョンで作成されたTMを使用した場合と解析結果が異なってくるという問題が発生していました(特に日本語および中国語が原文のTMにおいて顕著でした)。

SDLはこの問題を非常に重く受け止め、バージョン間でのTM互換性の問題を解決すべく注力しました。

その結果、Trados Studio 2019 SR1および2017 SR1においては、旧バージョンのTMをupLIFT対応させ、なおかつ以前と同様の解析結果が得られるよう改善がなされました。

また、Trados Studio 2015上で2019 SR1および2017 SR1に最適化されたTMを使用する場合に、やはり同様の解析結果が得られるよう、下位互換用のTM変換プラグインが開発されました。

今回のブログでは、それぞれのケースにおいて、どのようにTMの互換性が達成されているかについて説明したいと思います。

なお、今回の記事で対象としているTrados Studio各バージョンの詳細は以下となります。お持ちのTrados Studio各バージョンの最新アップデートを適用してください。

SDL Trados Studio 2015 SR3 (Build 12.3.5262.0)
SDL Trados Studio 2017 SR1 CU15 (Build 14.1.10015.44945) 以降
SDL Trados Studio 2019 SR1 (Build 15.1.0.44019) 以降

 

下位バージョンのTMを上位バージョンで使用する

まず、Trados Studio 2015で作成されたTMをTrados Studio 2017/2019で使用する場合についてご紹介します(Trados Studio 2017 SR1と Trados Studio 2019 SR1はTMの仕様が統一されていますので、同じものとして扱います)。

Trados Studio 2015で作成されたTMをTrados Studio 2017/2019のプロジェクトに割り当てようとすると、このようなメッセージが表示されます。Trados Studio 2015で作成されたTMはupLIFT機能に対応したTMではないため、このままではTMの一致が正常に表示されません。TMを機能させるためには「アップグレード」を実行し、TMを最適化する必要があります。

ここで[はい]をクリックすると、TMのアップグレード処理が始まります。

このアップグレード処理は、[翻訳メモリ]ビューからも行うことが可能です。未アップグレードのTMはオレンジの▲でマークされます。こちらを右クリックし、[翻訳メモリのアップグレード]をクリックします。

 

上位バージョンのTMを下位バージョンで使用する

今度は逆に、Trados Studio 2017/2019で作成されたTMをTrados Studio 2015で使用する場合についてご紹介します。

Trados Studio 2019 SR1のリリースに合わせて、Trados Studio 2015用のプラグインがSDL AppStoreに発表されました。TM Compatibility Plug-in for SDL Trados Studio 2015というプラグインです。

https://appstore.sdl.com/jp/language/app/tm-compatibility-plug-in-for-sdl-trados-studio-2015/932/

このプラグインをTrados Studio 2015にインストールすると、各ビューの[ホーム]タブに[翻訳メモリの逆変換]というメニューが追加されます。

こちらをクリックし、Trados Studio 2017/2019で作成されたTMを選択すると、Trados Studio 2015のプロジェクトでTMが使用可能になり、TM一致の検索が動作するようになります(upLIFT機能は使用できません)。

 

互換性の検証

以上、それぞれのバージョンでどのようにTMを最適化するかお話しました。そこで、以下のそれぞれのシナリオで同一の原文ファイルを使用し、得られたTM一致率の結果を検討しました。

シナリオ1
Trados Studio 2015で作成されたTMをTrados Studio 2019上でアップグレード

シナリオ2
Trados Studio 2019で作成されたTMをTrados Studio 2015上で逆変換

それぞれのシナリオ1と2で得られたStudio 2015上での解析結果、またシナリオ1と2で得られたStudio 2019上での解析結果はほとんど同様でした。

このように、最新のTrados Studio 2017 SR1およびTrados Studio 2019 SR1は従来のTrados Studio 2015 SR3と高い相互互換性を持っています。安心してアップグレードをご検討いただければと思います。