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翻訳会社向け:スムーズなファイル準備のコツ - パート1

この10年、SDL Trados Studioを始めとする最新の翻訳環境は大きく進化し、さまざまなファイル形式をサポートするようになりました。そのため今は、翻訳対象として提供されたほとんどのドキュメントをスムーズに開いて翻訳することができます。以前は翻訳プロセスの一環として当然だったファイルの準備や後処理は不要です。

とは言え、現在でも思い通りの結果が得られない場合もあります。例えば、1つの文がいくつかの分節に分断されてしまい、翻訳しづらいコンテンツになっていることがあります。 

9月に、SDLのファイル準備ウェビナーシリーズで、ファイル準備のベストプラクティスをご紹介します。ぜひご参加ください→

複雑なファイルを準備する際の課題

複雑なファイルは、翻訳エディタで開くことができる場合でも、完全に読み込むまでに非常に時間がかかることがあります。完全に読み込んだ後も、翻訳者は作業中に分節間を移動するだけで数秒待たされることがあります。

また、翻訳すべきでないテキストを翻訳してしまったり、さらに悪いケースでは一部のコンテンツが翻訳エディタで翻訳対象にならずに未翻訳のままだったりしたために、顧客に不満を持たれる場合もあります。

2バイト文字の言語や、右から左に記述する言語、東欧言語などを扱う翻訳者は、翻訳完了後に、訳文言語ドキュメントで文字化けが発生したり、訳文言語がまったく表示されなかったりした経験があるかもしれません。 

ほかによくある問題として、翻訳したドキュメントのレイアウトが完全に壊れてしまい、それを直すのに非常に時間かかかることもあります。 

このような問題を総括すると、2019年の現在においても、問題がまったくない翻訳プロセスの実現には程遠い状況であると言えます。多くの場合、ドキュメントを翻訳できるようにしたり、翻訳後のレイアウトを修正したりするために、かなりの量のエンジニアリング作業が必要になります。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?今後このような問題の発生を抑えるには、顧客をどのようにリードしていけばよいでしょうか?

ファイル準備の時間を短縮するために顧客と共有できるヒント

ここでは、クライアントと共有すべき一般的な推奨事項を紹介します。これにより、ドキュメントから最適な翻訳結果を得ることができます(プロジェクトマネージャの作業時間も大幅に短縮されます)。コンテンツの作成中(コンテンツ制作プロセス中)から、下記の事項を取り入れることをお勧めします。

  1. 翻訳者のPCのメモリに負担を掛けないように、ファイルサイズが何百メガバイトもあるような巨大ドキュメントを避け、コンテンツをより小さな単位に整理します。SDL Trados Studioのような最新の翻訳環境では、原文ドキュメントからテキストが抽出され、バイリンガルの中間ドキュメントが生成されます。原文テキストと訳文テキストが含まれたこのファイルを、翻訳者が翻訳作業に使用します。中間バイリンガルファイルには原文テキストと翻訳済みテキストの両方が含まれるため、テキストが倍の量になります。つまり、中間ファイルのサイズは非常に大きくなる場合があるということです。
  2. 翻訳済みテキストは原文よりも長くなることが多いため、レイアウトには余裕を持たせます。例えば、ロマンス諸語(フランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語など)や東欧言語(ポーランド語、ロシア語、クロアチア語、セルビア語など)は、同じ内容の英語テキストよりもかなり長くなります。そのため、翻訳済みテキストがレイアウトに収まらなくなることがよくあります。 
  3. 画像(JPG、PNG、TIFF)上のテキストはほとんどが翻訳対象として抽出されないため、画像にテキストを載せないようにします。翻訳可能なコンテンツを作成するときは、Adobe IllustratorやPhotoshopといったグラフィックアプリケーションのテキスト機能を使用するのは避け、InDesign、Word、Framemakerなどを使用します。グラフィックアプリケーションはビジュアルコンテンツを作成するときに使用します。 
  4. 文の途中で段落の区切りを使用しないようにします。文の途中では改行を使用します。翻訳可能なテキストが翻訳エディタにインポートされると、テキストが分節化されます。つまり、翻訳エディタでテキストが断片化され、1つの文が1つの分節として表示されます。段落区切りを使用してドキュメントのレイアウトを整えた場合は、分節が途中で分断されてしまい、翻訳しづらくなってしまいます。 
  5. レイアウトを整えるときは、手動で書式設定するのではなく、スタイル機能を使用します。インデントには、スペースやタブ文字を使用しないようにします。可能なら、自動インデントのスタイルを使用します。 
  6. コーポレートアイデンティティ(CI)の一環として企業固有のフォントを選択する場合は、そのテキストをローカライズする必要があるのか、どの言語にローカライズするのかなどを事前に計画しておきます。訳文言語のすべての文字セットをサポートする企業固有フォントをCIに選択することをお勧めします。
  7. PDFファイルを翻訳対象として提供することは避けます。提供時はオープン形式のファイルがお勧めです。生成またはスキャンしたPDFからコンテンツを抽出することは可能ではありますが、最終的な訳文のレイアウトは、基本的なオープンテキスト形式で処理した場合ほど整いません。 
  8. メインドキュメントにPDFドキュメントを埋め込まないようにします。代わりに、オープン形式のドキュメントを埋め込むと、ほとんどの場合、翻訳エディタにインポートできます。 
  9. 翻訳対象ドキュメントを提供する前に、翻訳対象と翻訳対象外のテキストを明らかにし、翻訳者や翻訳会社に伝えます。SDL Trados Studioのような最新の翻訳環境には、テキストを翻訳対象として含めたり除外したりするためのさまざまな機能が備わっています。このような機能を利用すれば、ドキュメントの中でインポートする部分や翻訳不要な部分を管理できます。

ファイルをスムーズに準備する方法

これまで説明してきたようなファイル準備に役立つヒントをほかにも知りたいという方には、私がゲスト講師として参加する9月のSDLウェビナーシリーズ「File preparation made easy for LSPs(翻訳会社でのファイル準備を容易にする)」がお勧めです。(英語での開催)このウェビナーシリーズは3部構成になっていて、初回セッションでは「翻訳に適した形式のファイルを顧客に用意してもらう方法」をご説明します。処理しづらいファイルを提供されることが多い翻訳会社に役立つ内容になっています。

ファイル準備に関する9月のSDLウェビナーシリーズにぜひご参加ください→

このブログのパート2もまもなく公開します。InDesign、QuarkXPress、XML、Microsoft Word/Excel/PowerPointなど特定のファイルの処理に関するヒントをご紹介しますのでお見逃しなく。