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SDL Trados Studio 2017 SR1 翻訳メモリのアップグレードによるコンテキスト一致への影響について

みなさま、こんにちは。SDLジャパンの土田です。こちらのブログでSDL Trados Studioをはじめとする弊社製品についての実用的な情報をお届けしています。

今回は、SDL Trados Studio 2017 SR1で日本語・中国語原文の翻訳メモリを使用する際に必要な「翻訳メモリのアップグレード」という処理と、それに伴う影響についての記事です。

 

フラグメント一致と翻訳メモリのアップグレード

SDL Trados Studio 2017 SR1より、upLIFT機能が日本語・中国語に本格的に対応しました。このアップデートにより、日本語や中国語が原文の翻訳メモリ(TM)においても、フラグメント一致が使用可能になりました。

翻訳対象の原文分節に対してTM内に100%一致やあいまい一致が見つからない場合でも、フラグメント一致の機能により、TM内の単語や語句のレベルで一致を検索し、TM内の翻訳をより無駄なく活用することが可能になりました。

以前のバージョンで作成されたTMをSDL Trados Studio 2017 SR1で使用する場合、TMのアップグレードという処理を行う必要があります。フラグメント一致の機能を有効にするため、この処理によってTM内の原文および訳文の構文解析がなされ、語句単位での対応関係を構築されます(フラグメント整合と呼びます)。

SDL Trados Studio 2015およびSDL Trados Studio 2017(SRなし)のバージョンで作成したTMをSDL Trados Studio 2017 SR1で使用する際に、以下のようなメッセージが表示され、TMのアップグレードを求められます。

ここで[はい]をクリックすると、アップグレードの一括処理が開始され、フラグメント一致を使用する準備が整います。

 

コンテキスト一致への影響と回避策

しかしながらこの処理によって、コンテキスト一致の判定に影響が出ることが報告されています。本来コンテキスト一致が適用されるべき分節が、100%一致として判定されてしまうという問題です。

この問題は日本語・中国語原文のTMにおいてのみ発生するものですが、SDLの開発部門はすでにこちらを認識しており、SDL Trados Studioの今後のアップグレードにおいて解決策を実装する予定です。この問題についての回避策が、下記のナレッジベース記事に記載されています。

https://gateway.sdl.com/apex/communityknowledge?articleName=000006009

この回避策では、外部ツールを使用してTMのコンテキスト情報を修復します。実施手順を改めてご案内します。

1. 上記ナレッジベースのページ下部にAttachmentsというセクションがあります。この箇所の[zip]というリンクから、ZIPアーカイブをダウンロードします。

2. ZIPアーカイブを展開し、exeをTrados Studio 2017のインストールフォルダ(デフォルトでは、C:\Program Files (x86)\SDL\SDL Trados Studio\Studio5)にコピーします。

3. 対象のTMファイル(.sdltm)をコピーし、バックアップを作成します。

4. コマンドプロンプトを起動します。

5. 下記のコマンドにより、カレントディレクトリをTrados Studio 2017のインストールフォルダに移動します。

cd “C:\Program Files (x86)\SDL\SDL Trados Studio\Studio5"

6. 以下のコマンドで対象TMの場所を指定し、実行します。TMの場所は、フルパスで指定します(たとえばC:\Users\<ユーザー名>\Documents\Studio 2017\Translation Memories\test_TM_J-E.sdltm)。
exe “<TMのフルパス>"

7. 「This tool will attempt to convert context-match information in a TM that has been upgraded to advanced tokenization for JA or ZH. ENSURE YOU HAVE MADE A BACKUP COPY OF THIS TM BEFORE CONTINUING. Press the space bar to continue to conversion, or any other key to exit…」というメッセージが表示されますので、スペースキーを押し、処理を続行押します。

8. コンテキスト情報の修復結果が下記に表示され、処理が完了します。

9. 修復後のTMでプロジェクトを再作成すると、再びコンテキスト一致が得られるようになります。一括翻訳を実行し、作業の進捗状況を復旧することが可能です。